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「青竹箸」完成まで

青竹箸


青竹箸09−1

青竹箸ー2


毎年、大晦日に青竹のお箸を削る。
新年に向かって真ッサラな、みずみずしい青いお箸で正月を迎える。
瑞々しい美しい竹の緑、ただ、この緑色が何時までも残っていない。時間とともに緑色が薄くなっていくのだ。ある意味、逆にこの瞬間しか美しさが無い事を大事に考えて、新年を迎えるお正月のお箸として出している。


「一期一会」青竹の青さはほんのひと時である、時間とともに青みが抜けて緑色が黄緑色へと変色していく。茶席を設ける主はお客様の事を思いながら、お箸を削ったという。事前に作り貯めすることはできないので、時間を考えて最高の状態でお客様を迎えることを考えたそうだ。「ほんの一瞬の青竹の美しい時に合わせて、そのお客様を迎えたい。」そんな事から「一期一会」の言葉が込められる。

まさし く、 ほんのひと時!その場で!その出会いを!



「青竹箸」完成までの道のり

青竹箸ー3青竹を切り出しに竹薮に入った。
日当たりの良い所の竹は日焼けしてしまい、美しい青さが無い。杉林の中の様な、あまり日が当たらない場所の竹の方が伸びも良く美しい。
今年、生えたばかりの竹は美しいが、まだ、芯が無く柔らかい。もう少し、しっかりしてこないとお箸には使えない。
3年物ぐらいの美しい竹を選んで切り倒す。今は、竹薮が整理されていないので、四方八方に倒れた竹が邪魔をする。
太く真っ直ぐ育った竹を見つけるのだが、切り出した竹の三分の一くらいしか、
お箸になる材料は無いのだ。曲がりがあったり、反りがあったり、傷があったりする物を省いていくと本当に少なくなってしまう。使える部分は、厚みのある元の方だけだ。

青竹箸ー4適当な長さに切り竹薮から担ぎ出す。
工房に持って帰り、綺麗に汚れを洗い落とすのだ。

青竹箸ー5山から切り出した青竹を一節ずつ切り、お箸1膳づつの太さに割り込んでいく。
この時使う道具が「菊割り」である。
上から見た時に、菊の花のような形に見える道具なので、こう呼んでいる。

青竹箸ー6今度は、割った竹の選別である。
どの竹でもお箸になるのか?と言えば、NOである。
まず、「曲がり」を見る。この曲がりの入った竹を無理に削って、お箸にしても、後から必ず歪みが出てくる。
次に「反り」を見る。これも曲がりと同じで、真っ直ぐな材料を選らば無くてはならない。その他、色や傷などを見ながら選別していくと……

青竹箸ー7左が合格品。右が失格した材料である。
大体、三分の一くらいしか残らない。
節を頭に残して、お箸の長さに切る。この後、一本一本を丁寧に洗っていくのだ。研磨するスポンジで洗うと、あっという間に表面に傷が付き、折角の青竹の美しさが台無しになってしまう。普通のスポンジで丁寧に洗った後、布で、傷が付かない様に摺り上げていくと美しい青さが残っている。

青竹箸ー8いよいよ、青竹箸の製作も大詰めになってきた。
綺麗に洗ったものと、簡単に汚れを落としたものでは、こんなに違う。
洗ったばかりに見てみると、ほとんど違いは無いのであるが、表面の水が乾いてくると大違いである。

青竹箸、美しさが命。
1膳分になっている竹を2本に割り、まず、切り出しナイフで1本1本が真四角の状態にする。全ての作業の途中途中で、ペアーになっている1本1本を縛り、色が抜けないように水に浸けてく。何故こんな面倒臭い事をするのか?と言えば、同じように見えて、竹1本1本の色が微妙に違う。又、節の位置や形がホンの少し違うからだ。1組づつ、ペアーを作って置かないと見た時の感動が無くなってしまう。
今度は、1組づつを手カンナで削りだしていく。竹の歪み、曲がりを何回も見ながら、先端から元まで、置いた時にピシッと揃って、凛とした美しさが無ければいけない。

青竹箸ー9私はいつも真竹をカンナで削って青竹箸を作る。
孟宗竹では美しい色目と艶が出ないのである。
真竹の ぱっと一目見たときの美しさといったら言いようがない。
丁寧に巾と厚みを揃え、その後切り出しナイフで面取りをする。

青竹箸ー10この面取りでお箸の表情が決まる、
優しくそれでいて凛とした美しさが保たれるように!
研ぎ上げた切り出しナイフで息を止めて一気に削っていく。
途中で手を休めると、どうしても段が付いてしまって美しくない。持った時の手触りと見た目の優しさを、面取りがするのだ。
乾いた竹を作るのより、数倍手間と神経を使うのが、この「青竹箸」である。
お箸を削るのが一番神経を使う。簡単そうに思えるかもしれないが、簡単に見える仕事ほどごまかしが利かなくて難しい。

青竹箸ー11無事一年を終えることが出来た感謝の気持ちと、
来年に向けての期待を込めて青竹箸を削り込んでいくのだ。